技術資料

~オンラインCVDとは~

フロート板ガラスラインとCVD技術

薄膜形成技術

薄膜形成技術

近年ガラスのみならず、特殊な機能を持たせた様々な材料が市場に投入され、これを使った多くの商品が消費者の生活を快適に、便利に、より向上させることに貢献しています。
材料に特殊な機能を持たせるために広く使われているのが「コーティング」(薄膜形成技術)です。
表面に様々な薄膜を付ける事で、その材料がもともと持つ性質以外の特徴を付加する事ができます。
多くの薄膜は色々な種類の材料をコーティングしたものですが、この技術としては大きく化学的な方法と物理的な方法があります。

CVD

化学的な方法とは、複数のガスを使い、そのガスにエネルギーを与え、ガスが化学反応をする事により膜を材料表面に成長させるもので、CVD(Chemical Vapor Deposition : 化学的気相成長)と呼ばれる方法です。

スパッタリング法

一方物理的な方法とは、金属そのものを蒸発させ基板に付着させる方法(蒸着法)や、金属(ターゲット)にイオンを叩き付け、出てくる金属粒子を基板に付着させる方法(スパッタリング法)などがあります。

形成したい薄膜の種類によって何れかの方法が選択されることになりますが、常圧CVD法は成膜過程で高真空を必要とせず、成膜速度が比較的早い事により、大量生産に向いた成膜方法です。
日本板硝子の『オンラインCVD』は、ガラス製造工程(1600℃の溶けた原料から常温の板ガラスになる工程)で、その熱エネルギーを活用し、その高温時にガスを吹き付ける事でガラス表面に金属膜を付ける技術です。
ガラス製造工程で膜が付けられることにより、量産性に優れ、また高温で化学反応により膜を付けますので耐久性が優れた膜が形成できます。

CVD商品のルーツ

CVD商品のルーツ

1942年にアメリカのLOF社(現Pilkington North America社)が取得した酸化錫コーティング特許がそのルーツです。
当初の用途は飛行機用の窓ガラスでした。

フロート板ガラスラインとCVD技術

フロート板ガラスラインとCVD技術

ガラスは原料である砂(おもに珪砂)を重油バーナーもしくは天然ガスバーナーにより加熱し、最高温度約1600℃で溶かしたものです。
この温度ではガラスは液体状です。
その後、溶けたガラスはフロートバスに流されます。フロートバスとは、溶融した錫(すず)が入っており、液体状のガラスはその上に浮かんだ状態となります。浮かんだ状態の特徴から、このガラスの製法をフロート法と呼んでいます。
フロートバスの中で溶けたガラスに何も力を加えなければ、その厚みは通常6㎜となります。
それより薄い板ガラスを作るには引き延ばす作業を、厚い板ガラスを作るには寄せる作業フロートバス内で行います。
ガラスは約750℃位でかたまり、約600℃でフロートバスより引き上げられ、徐冷工程に向かいます。
徐冷工程では、ガラスの表裏、幅方向の温度を制御して、平らな歪のない板ガラスを作ります。
オンラインCVDは、フロートバス内でガラスが固まった750℃~600℃の間に複数のガスを吹き付ける事により生ずる化学反応で、ガラス表面に成膜する方法です。
こうして通常のガラスが製造される工程で、オンラインCVDにより機能を付加された製品が出てくることになります。
日本板硝子のNSG TEC™という商品では、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)を主成分として成膜したものです。

CVDでできる膜の種類と機能と商品

CVDでできる膜の種類と機能と商品

オンラインCVD法では、様々な金属膜をガラス表面に付ける事ができます。
主な金属膜として、酸化スズ(SnO2)、酸化ケイ素(シリカ:SiO2)、TiO2(酸化チタン)、Si(シリコン)、Fe2O3(酸化鉄)ができます。
様々な用途に利用が可能な透明導電膜(TCO)は酸化スズにフッ素を添加したもので、一般的には、SnO2:FやFTO(フッ素添加酸化スズ)と呼ばれています。
日本板硝子の商品ではNSG TEC™として発売しています。
高反射ガラスについては、屈折率の異なる膜とその膜の厚みの組み合わせにより、光学的に反射率を上げるようにします。
これにより、所謂「ハーフミラー」が出来上がります。
日本板硝子の商品としてはMirroView™になります。
低反射(AR)ガラスもMirroView™と同様に屈折率の違う膜とその膜厚の組合せで実現する事ができます。
日本板硝子の商品としてはOptiView™です。
CVD法では様々な機能を持った膜を付加することができます。
透明導電膜付きガラス、低反射ガラス、高反射ガラスなどの機能を持たせることができ、建築用のみならずあらゆる分野でご使用いただけます。

オンラインCVDコーティング生産拠点

オンラインCVDコーティング生産拠点

このようにあらゆる優れた点を持つCVDですが、日本板硝子は日本国内で唯一オンラインでのCVDコーティングが可能なメーカーです。
70年以上にわたり蓄積されたCVD製造技術は日本国内に限らず、アメリカ、イギリス、ドイツ、ベトナムに生産体制を有しており、建築、太陽電池、産業用、自動車、情報機器等の幅広い用途に展開しております。

カタログ

カタログ_NSG TEC

透明導電膜付きガラス
NSG TEC™

PDF 484KB

ダウンロードする
カタログ_ミロビュー

高反射ガラス
ミロビュー

PDF 888KB

ダウンロードする
カタログ_オプティビュー

低反射ガラス
オプティビュー

PDF 1666KB

ダウンロードする

産業用製品についてのお問い合わせ

注意事項及び個人情報の取扱いにつきましてご同意いただいた上で、お問い合わせください。