防耐火ガラス

火災の拡大を防ぐための「防火設備」や「特定防火設備」に対応したガラスです。網入りガラスのほか、クリアな視界と自然な色調を保つ製品もあります。

防耐火ガラスとは

もしも火事が発生したら・・・。
日常生活を安心して過ごすためにも、万一の事態に備えておくことは非常に大切です。
その一つが窓ガラス。火事が発生した際、ガラスはなぜ危険なのでしょうか。一般的なガラスは、耐熱性能を持っていません。高温の炎で熱せらると、割れてしまいます。また、ガラスの脱落により火炎の侵入を防ぐことができません。そこで登場するのが「防火ガラス」です。

主な特徴

 

 

  • 防火ガラスの種類

    防火ガラスの種類

    主な「防火ガラス」には2種類あります。
    (1)金属の網を入れた「網入りガラス」
    火災時に破損しても、金属の網がガラスの脱落を防ぎ、火炎の侵入を抑えます。従来はこの「網入りガラス」が多く用いられてきました。
    (2)「防耐火ガラス」
    建築用として使用されている板ガラスに、特殊な加工と超強化処理を加えた、防火設備用の耐熱ガラスです。特徴としては、フロート板ガラスの6倍以上、強化ガラスの2倍以上の強度があります。万一破損しても、破片は粒状になる安全ガラスです。網のないクリアな外観と自然な色調が得られ、開放感のある空間デザインを可能にしました。

  • 防火ガラスの破損実験

    防火ガラスの破損実験

    火災時に万一ガラスが破損した場合、その破片が鋭利であれば非常に危険です。そこで、「防耐火ガラス」は耐熱性能や遮熱性能に加えて、非常に優れた強化ガラスとしての性能を持っています。
    写真は防耐火ガラス「パイロクリア」の破損状況です。強い衝撃が加わると前面にヒビが入ったような状態になり、鋭利な破片が飛び散ってくることはありません。また、破損した際には小さな破片となりますので、人体を傷つける恐れはありません。

用途・使用シーン例

外壁の延焼のおそれのある部分や防火区画における開口部での「防火設備」(旧乙種防火戸)や「特定防火設備」(旧甲種防火戸)の使用が義務付けられています。建築基準法告示による例示仕様や個別認定で認定されている場合は、耐熱強化ガラス(パイロクリア)の使用が可能です。

防耐火ガラスが使用される部位

①延焼のおそれのある部分の開口部 (建基法第2条九の二ロ)

→防火設備を有すること 製品:パイロクリアパイロクリアJ(告示)

②異種用途区画(建基法施行令第112条 第17項)

→準耐火構造の壁又は特定防火設備で区画 製品:パイロクリアパイロクリアSパイロストップパイロクリアJ

③避難階段及び特別避難階段の構造(建基法 施行令第123条)

・階段室は、耐火構造の壁で囲むこと 製品:パイロストップ
・壁に設ける開口部は、1㎡以内の防火設備(FIX窓) 製品:パイロクリアパイロクリアJ
・出入口:防火設備(避難階段)、特定防火設備+防火設備(特別避難階段) 製品:パイロクリアパイロクリアJパイロクリアS

④面積区画(建基法施行令第112条 第1〜5項)

→準耐火構造の壁又は特定防火設備で区画 製品:パイロクリアパイロクリアSパイロストップ

④高層区画(建基法施行令第112条 第6〜9項)※11階以上の面積区画

→耐火構造の壁又は防火設備 製品:パイロクリアパイロクリアSパイロストップパイロクリアJ
※耐火構造の壁+特定防火設備を用いることで面積緩和措置あり

⑤昇降路の壁又は出入口 (平成20年国交省告示第1454号、1455号)

→合わせガラス(JIS R 3205)と同等以上の飛散防止性能を有するガラス
※防火性能が要求される部位の場合、 「パイロクリア+飛散防止フィルム」 or 「パイロストップ」が使用できる。
製品: パイロクリアSパイロストップパイロクリア+飛散防止フィルム、パイロクリアJ+飛散防止フィルム

⑥竪穴区画(建基法施行令第112条 第10〜14項)

→準耐火構造の壁又は防火設備で区画 製品:パイロクリアパイロクリアSパイロストップ
※スプリンクラー設備設置などで、10分防火設備にすることができる。
(令和2年国交省告示第198号)
→表面圧縮応力140MPa以上の強化ガラスor パイロクリア、パイロクリアJ