防音

「環境基本法」で、公害と認定されている騒音。家の中にいるにもかかわらず、外からの音によって快適な生活が妨げられるのは、大変深刻な悩みです。効果的な騒音対策を施すためには、まず音の特性を理解しなければなりません。音にまつわる不思議を解明し、静かで心地よい暮らしを手に入れましょう!

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音の伝わりかた

「外がうるさくてよく眠れない・・・」
快適な眠りを得ることができない、という悩みは大変深刻なものです。

外からの騒音によって、いったん睡眠を妨げられてしまうと、耳障りな音が神経を刺激し、人の脳はその音ばかりをキャッチしてしまいます。その結果、なかなか再び眠りにつくことができません。
心地よい眠りの時間が思うようにとれないと、日常生活にも支障が生じます。会社や学校で睡眠不足による眠気が押し寄せ、その晩再び騒音によって良好な睡眠が得られず、疲れを引きずったまま朝を迎える、といった悪循環を招いてしまいます。
ではそんなやっかいな騒音を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。まずは音の伝わり方を理解しましょう。

音が伝わるルート

音は粒子の振動です。
たとえば人の会話は、声帯の振動によって声が発生し、空気の粒子を振動させて聞き手に伝わります。
聞き手はその波によって、鼓膜が振動し、声が聞こえるのです。

部屋まで音が到達する伝わり方には、3つのタイプがあります。

・タイプ1 空気を伝わってくる音
・タイプ2 固体(地面や天井・床・壁・配管など)を伝わってくる音
・タイプ3 空気と固体の両方から伝わってくる音

タイプ1「空気を伝わってくる音」

屋外から聞こえてくる、犬などの動物の鳴き声や自動車・電車などの交通騒音など。
窓は、空気を伝わってくる音の出入り口のため、窓への防音対策は、「空気を伝わってくる音」に対して有効な手段となります。
たとえば、屋外から聞こえてくるカラオケの音は、「空気を伝わってくる音」なので、窓への防音対策が効果的です。

タイプ2「固体を伝わってくる音」

上下左右の部屋から伝わってくる足音や水周りの音をはじめとする生活音など。
「固体を伝わってくる音」に対しては、窓への対策ではほとんど効果が見込めません。
それどころか、「固体を伝わってくる音」に悩まされているのにも関わらず、窓の防音性能を改善すると逆効果になることもあります。

例えばマンションで、上の階の足音などの天井から響いて来る「固体を伝わってくる音」に対して窓の防音性能を向上させると、肝心の天井からの音に対して効果が無い一方で、屋外から窓を通して侵入してくる交通騒音などの音が静かになるので、それまで以上に天井からの音が気になってしまいます。

したがって、「固体を伝わってくる音」に対する防音対策は、屋根・壁・床・窓についてトータルで考える必要があるため、深い知識と豊富な経験がないと難しいといえます。
そうした種類の音に深刻に悩まされている場合には、防音専門の業者に相談してみるほうが良いでしょう。

タイプ3「空気と固体の両方から伝わってくる音」

近所の工事現場からの音や、すぐ近くを通過する大型トラックなどのような「地響き」を伴うような音。
「空気と固体の両方から伝わってくる音」は、「空気を伝わってくる」部分については窓への防音対策によって、ある程度の効果は期待できます。 楽器やステレオの音のように、部屋から屋外に漏れていく場合や、隣室から聞こえてくる場合には空気ばかりではなく、部屋全体を振動させることから「空気と固体の両方から伝わってくる音」になります。 ただ別棟のご近所から聞こえてくる場合、ほとんどの音は空気を伝わってくるため、「空気を伝わってくる音」と考えられます。 このように、同じ音でも、条件によってタイプが異なるケースもあるのです。

音の単位

騒音は「環境基本法」でも、公害と認定されています。
一般的に騒音と思われる音には、工事現場の音や自動車、鉄道、飛行機から発生する音、人の声などが上げられます。

では、これらの音の大きさはどのように表されるのでしょうか。
音の大きさを表す単位は「デシベル(dB)」です。5デシベルの差で、人の耳は音量の違いを十分に聞き分けられます。
一例をご紹介します。

30デシベル: ささやき声・深夜の部屋の中
50~60デシベル: 人の普通の会話
80デシベル: ピアノの音
100デシベル: 電車の音
120デシベル: 飛行機の音

このデシベル、あまり耳慣れない単位かもしれません。
人間の聴覚は、音を「大きい」「小さい」と「高い」「低い」で分類します。音の大小は「音の圧力」によって決まり、これを測る単位がデシベルです。
一方、音の高低は「音が振動する回数」で決まり、単位はヘルツ(Hz)です。音を測る単位という点では同じですが、ヘルツとデシベルは異なった性質をもっています。

住宅の騒音

窓もドアも閉めている。壁もそんなに薄くないはず・・。それでも音は部屋の中に入ってきます。いったいどこから入ってくるのでしょうか。タイプ1「空気を伝わってくる音」について調べてみましょう。
「空気を伝わってくる」ということは、空気の出入り口が考えられますね。部屋の中を見回して見ましょう。どこかに空気の出入り口はありませんか?

部屋の壁の穴

エアコンの室内機と室外機をつなぐホースを通す穴や、暖房機器の排気管を通す穴や隙間、換気口や換気装置など部屋の中には、意外にも多くの空気の出入口があります。
実は、こうした穴や隙間を通じて伝わってくる音も大きな騒音の原因となっています。

壁の穴の防音対策について
騒音対策

サッシには、窓をスムーズに開け閉めするためにわざと隙間が設けてありますが、これが、音が侵入する絶好の通り道となってしまいます。窓の防音対策では窓ガラスについて検討する前に、サッシの隙間対策を検討することが先決です。
サッシの隙間を放置したままで、ガラスを防音タイプに替えても、防音ガラスは性能を十分に発揮できないのです。ただ、サッシを防音タイプに取り替えるためには壁や床も壊す必要があるため、実現することは非常に困難です。

窓の防音対策について
騒音対策

騒音対策

住宅の騒音の原因がわかったところで、それぞれの具体的な対策を考えてみましょう。
壁の穴対策

室外機のホースの穴には

機器を使用している場合は、配管と穴の間の隙間が、専用の粘土でしっかり塞がれていれば、そのままで問題ないと考えられます。 一方、機器を使用していない場合には、この穴は無用なので塞いでしまったほうがよいでしょう。
ガラスを繊維状に加工したグラスウールなどの吸音材を固く丸めたものを隙間に詰めます。 グラスウールはホームセンターなどで簡単に入手可能で加工も簡単、後で元に戻すこともできます。

換気口にはサイレンサー

換気口や換気装置は、もともと空気を入れ替えることが目的のため、これを塞いでしまうと、汚れた空気を排気できなかったり、新鮮な空気を取り入れられないなどの弊害が出てしまいます。 防音ができても、換気不足で結露が発生しやすくなることも考えられます。
したがって、換気口や換気装置に防音対策をする時は、換気口を塞ぐのではなく、サイレンサーと言われる消音器を取り付けます。 サイレンサーには市販されているものや、個別に製作するものなど様々なものがあります。
この図のように、サイレンサーの内部は、迷路のようになっています。 音はこの迷路を通過する過程で、何度も反射したり、吸音されるので、耳障りな感じが徐々に弱まっていきます。つまり、サイレンサーは、自動車のマフラーのような役割をもっているのです。
ただし、サイレンサーは、24時間換気用の風量の少ない換気装置には使用できる場合が多いのですが、キッチンの換気装置のように風量が多いものには、使用できないことがあるので注意が必要です。

窓の対策

内窓が簡単便利!

「内窓」は、今の窓の室内側に追加で設置する窓のことで、ほとんどのサッシメーカーで品揃えしており、「内窓」の専業メーカーもあります。
「内窓」にもいろんなタイプがありますが、特に防音性能を重視した隙間の少ない「内窓」を選ぶことで、今の窓の弱点を補うことができます。さらにガラスの防音性能を向上させることができれば、効果は抜群になります。
それに設置もほとんどの場合、若干の工事で済むため、サッシを交換することに比べれば、ずっと簡単です。
ただし、取り付け精度が悪いと隙間が出来てしまうため、工事はしっかりした知識と腕をもった防音の専門業者にお願いした方が良いでしょう。