防災

大型台風や地震等の大規模自然災害が毎年のように頻発し、私たちの日常に身近な脅威となりつつあります。
いつも何事もなく過ごしている日常が、災害や事故によって一変させることもあります。私たちは災害の発生を防ぐことはできませんが、発生したときのことを考えて、被害を最小限に止める準備ができます。

年々、建物全体の強度は高まっていますが、ガラスの対策はまだ少なく、直近の台風ではガラスの被害が多く見られました。私たちは透明なガラスを通して景観を楽しむことができますが、災害時にガラスが割れると鋭利な破片になり、凶器となる場合があります。私たちの生活に密接にかかわる窓ガラスだからこそ、万が一の対策を考えていく必要があるのです。
ここでは、災害時でも安心な空間づくりに貢献できる防災ガラスをご紹介します。

防災対策にお奨めの製品

ガラスによる被害が考えられるケース

台風・竜巻(強風)

台風等の強風により物が飛来して窓ガラスに衝突すると、ガラスが破損、脱落することがあります。破損したガラスは鋭い破片となり、人に重大な怪我に負わせる危険性があります。
また、破損したガラスの穴を通じて建物の中に強風が入ってきます。
強風により室内のものが破損するだけでなく、最悪の場合、屋根が飛ぶ等の建物の倒壊に繋がる恐れがあります。

地震

大地震の大きな揺れは、家具の衝突、外からの飛来物などによりガラスを破壊します。割れたガラスは鋭利なため、触れるのも危険な凶器となります。
また、避難時に大きな妨げとなります。2016年4月に発生した熊本地震では、最大震度7を観測しました。
本来は避難所となる益城町大型展示ホールは、前震でご自宅が損壊した被災者が避難していましたが、本震でホール棟の窓ガラスが破損して落下、またメインエントランスの風除室に使用されていたガラスも破損し、出入口として使えない状態となりました。

日常生活

人の衝突が予想される場所は様々な安全対策を講じられてますが、ガラスは透明なため、人が気がつかずに衝突し、破損したガラスの破片で怪我をする場合があります。

被害を最小限に抑えるためには

防災ガラスとは?

防災ガラスとは、2枚の板ガラスの間に合成樹脂の60mil(約1.5mm)以上の中間膜をはさみ、圧着した合わせガラスのことです。防災ガラスは耐貫通性に優れ、万一破損しても破片がほとんど飛び散りません。

この耐貫通性能と飛散防止性能より、台風、地震、人体のガラス面への衝突事故に対して高い安全性を発揮し、万が一ガラスが破損した場合も被害を最小限に抑えることができます。

また、合わせガラスは高い安全性が求められる自動車のフロントガラスにも採用されております。

貫通性能実験

このような背景から、台風等の強風時に飛来物がガラスに衝突したことを想定した実証試験を行いました。
JIS R 3109「建築用ガラスの暴風時における飛来物衝突試験方法」
加撃体(鋼球と木片)を飛ばしてガラス(0.9m×1.1m)に衝突させ、貫通または一定の開口(裂け目)の有無を評価します。加撃体の種類と衝突速度により衝撃力をA~Eに分け、合否を判定します。

試験装置

試験に用いる加撃体

加撃体種類 加撃体(材質) 衝突スピード(m/s)
A 2g±1g(鋼球) 39.7
B 1kg±0.1kg(木材) 15.3
C 2.05kg±0.1kg(木造) 12.2
JD 3.0kg±0.1g(木材) 15.3
D 4.1kg±0.1g(木材) 15.3
E 4.1kg±0.1g(木材) 24.4

実験写真

1枚ガラス

防災ガラス


上記写真の通り、1枚ガラスは飛来物が貫通して、割れたガラスが内部に飛散しています。
防災ガラスは比較的弱い部分である端部でも飛来物が貫通しませんでした。割れたガラスの破片もほとんどが内部に飛び散っていないため、安全が高いことを確認できました。

また、近年SNS等を中心に注目されている、「米(こめ)」の字のように「養生テープ」を貼ったガラスでも同様の試験を行いました。
結果は、1枚ガラスと同様に衝突と同時に木片は容易にガラスを貫通し、割れたガラスの破片が飛散しました。ガラスの破片は小さくなりましたが、防災対策としては不十分な結果は得られませんでした。

養生テープを貼ったガラス

防災ガラスは耐貫通性能の他に次のような性能に優れています!

脱落防止性能

飛散率が非常に小さい

飛散率とは、ガラスを強制的に破壊し、その時脱落した破片の総重量をガラス全体の重量に対する百分率(%)で表したものです。合わせガラスの場合、飛散率が格段に少なくなります。


出典:財団法人 日本建築防災協会「ガラス飛散防止性能検討業務 報告書 平成15年3月」より


最大破片の重さが軽い

合わせガラスに破壊後にさらなる変形を加えても、飛散率は2%程度。その破片も最大で約6~25g程度に納まっており、防災性能に優れていることが分かります。
一方フロート板ガラスの場合、破壊時に約50%、最終的には約60%が飛散。最大破片も約1800gと、非常に大きなものとなってしまっています。


出典:財団法人 日本建築防災協会「ガラス飛散防止性能検討業務 報告書 平成15年3月」より


紫外線カット性能

中間膜は人体への有害な紫外線を99%以上カットします。家具やカーテンなどの変色、褪色防止にも有効です。


防犯性能

中間膜をより強靭で厚いものとすることで、バール等を使っても容易に貫通できない防犯性の高いガラスになります。窓からの侵入を許しません。


遮音性能

遮音性能に優れた中間膜の使用により、驚くほどの遮音性を実現。不快な騒音の侵入と室内の発生音の外部への漏れを防ぎ、快適な居住空間を確保します。

ガラスの耐震設計について

地震で建物がゆれる時(建物の破壊以前に)、
・ガラスができる限り割れないように、
(1)サッシの変形とガラス(2)ガラスが割れないための弾性シーリング材
・又、万一割れても飛散・脱落することがないように、
⇒飛散防止に有効な「合わせガラス」
設計されていなければなりません。

その為、ガラスの設計施工については法律で規定されてます。
(3)ガラスの耐震設計関連法規について

地震時に、ガラスができる限り割れないようにするには?

(1)サッシの変形とガラス

地震による建物やサッシのねじれや変形が、直接ガラスに作用しないようにサッシとガラスのすき間(クリアランス)を十分取り、ガラスがサッシ内で自由に移動・回転できるよう設計しなければなりません。

(さらに詳しく)
ガラス工事については、日本建築学会で定めた日本建築学会で定めた、ガラスの建築工事標仕様書があります。
JASS17:Japanese Architectural Standard Spesification 17
≫ 板ガラスの標準施工(PDFファイル 115KB/3ページ)

(2)ガラスが割れないための弾性シーリング材

パテなどの硬化性シーリング材を使用した場合、ガラスとサッシが硬化接着して、ガラスの移動や回転を妨げられガラスが割れてしまいます。従ってグレイジングガスケットや弾性シーリング材を用います。

(3)ガラスの耐震設計関係法規について

・3階以上の建築物の場合
【昭和53年10月の建設省告示第1622号】
屋外に面したはめころし窓のガラス施工の場合、硬化性シーリング材を使用しないように規制されました。
※これは昭和53年2月と6月の宮城県沖地震によって、ガラスの破損・脱落など被害を受けたガラス窓のほとんどが、硬化性パテ止めのはめころし窓であったことによります。

・地上高31mを超える建築物の場合
【昭和46年建設省告示第109号】
上記の規定によるほかさらに、帳壁はその高さのある一定の変形に対しても脱落しないことが定められています。

(さらに詳しく)
耐風圧・耐震設計関係法規(PDFファイル 2212KB/5ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス技術資料編より)
建築基準法・建築基準法施行令・建設省告示

防災とガラスについての技術資料一覧

板ガラスの耐震設計(PDFファイル 809KB/1ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス技術資料編より)


耐風圧・耐震設計関係法規(PDFファイル 2212KB/5ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス技術資料編より)
建築基準法・建築基準法施行令・建設省告示


板ガラスの標準施工(PDFファイル 115KB/3ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス製品編より)


鏡・壁装ガラスの標準施工(PDFファイル 200KB/4ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス製品編より)


ガラス防煙垂壁:スモークフェンスT(PDFファイル 352KB/3ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス製品編より)
耐震性能を向上させたガラス防煙垂壁です。


安全・安心ガラス設計施工指針増補版(PDFファイル 1851KB/12ページ)
(ガラス建材総合カタログ:ガラス技術資料編より)

カタログ

防災ガラス ガイドブック

製品詳細カタログ PDFファイル 1700KB / 8ページ

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