防犯

住宅への侵入・窃盗犯罪が増加する一方の現代社会において、十分なセキュリティ対策は今や必須となっています。
安心して暮らせる住まいを手に入れるために、まずは犯罪についての知識を蓄えることが大切です。
犯罪傾向や住まいの防犯対策を学んで、犯罪に負けない安全な暮らしを実現しましょう!

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住宅侵入の手口

犯罪と隣り合わせの現代社会、住宅への侵入や窃盗の被害は決して珍しいことではありません。
住宅等に対する侵入窃盗の件数は、平成16年は約29万件にのぼり、10年前に比べて17.3%も増加しています。(警視庁生活安全局生活安全企画課)またその手口も年々巧妙化しており、防犯対策と一口でいっても様々な手段を検討しなければなりません。
ちょっとした油断がもとで、いつ誰が犯罪の被害者になってしまうか分からない現代社会。十分な防犯対策を講じておくとともに、陰に潜む危険性を瞬時に感じられるよう、常に防犯意識を持っておく必要があるのです。

1番多い侵入手口

戸建て住宅やマンションへの侵入手口で一番多いのは「ガラス破り」です。道具を用いて窓ガラスを破り、外側から鍵を開けて侵入します。
特に戸建て住宅では、無締りや錠破りなどに比べて、ガラス破りが群を抜いて多くなっています。庭などに面する窓ガラスは道路から死角となり、侵入するのに好都合ということです。

またマンションではサムターン回しやピッキングなどの錠破りが、ガラス破りについで多くなっています。
最近、オートロックの共同住宅が増えてきましたが、油断は禁物です。「オートロックだから大丈夫」と思い、つい戸締りを忘れてしまった住宅に空き巣が入ってしまうことは非常に多いのです。
居住者と一緒に玄関をくぐる、内側のセンサーに巧みに感知させるなど、侵入は案外簡単なためです。

また、洗濯物が何日も干したままの状態や部屋の明かりがずっと消えているなど、明らかに留守が分かるような状況も、侵入者に狙われるポイントとなります。

「ガラス破り」とは?

住宅侵入で最も多い「ガラス破り」とは、どのような手法なのでしょうか?
ガラス破りは窓のガラスを割り、クレセント部を狙って侵入する手口で、 「こじ破り」と「打ち破り」の2種類があります。

こじ破り

軽量のドライバーなどを用いてガラスにヒビを入れ、音を出さないように破壊する。
周りに気づかれないように密かに侵入する方法。

打ち破り

破壊音をあまり気にせずにバール等でガラスを破壊する。
住人や警備員が駆けつける前に、数分で目的を達成しようとする方法。

狙われやすい場所

隣あった2件の住宅で、一方は数回空き巣に入られているのに、もう片方の住宅は1回も狙われていない、実際そのようなことがあります。
侵入盗の多くは狙う家や周辺の下見を行い、侵入しやすいかどうかを見極めます。「人目がないか」「入りやすく逃げやすいか」「家の人は留守か」など、当然、侵入するのに難しい建物よりも、侵入しやすい建物を狙います。
つまり、下見の段階で侵入が難しいと思わせる設計が防犯対策の第一歩といえます。しっかりとした錠前がついているか、侵入口となる扉・窓といった開口部や外構などに防犯の意識で設計がなされているか、こうした総合的な防犯対策の手法を「防犯環境設計」と呼んでいます。
今、この「防犯環境設計」が住宅やオフィスに求められているのです。

狙われやすい住宅設計

戸建て住宅の場合

・視界を遮るような樹木がある
・内側が見えにくい駐車場の屋根がある
・塀や樹木を足場にベランダ、屋根に上がる事が出来る
・玄関ドアが周囲から死角になっている
・玄関や庭先に夜間の照明がついていない
・トイレ、浴室などの窓に格子がない
・玄関ドアの鍵が一つである

集合住宅の場合

・エントランスに防犯カメラがない
・隣の建物からベランダなどに入り込むことができる
・エレベータに防犯カメラがない
・隣の部屋から死角の位置に玄関がある
・玄関ドアの鍵が一つである
・廊下が外部から見えない
・鍵なしで屋上に上がることが可能

住宅の設計以外に、次のような点は侵入盗に狙われやすいので要注意です。

・郵便受けに新聞などがたまっている
・電気メータの回転が鈍い
・駐車場が長期間空いている
・付近で大きい音がする(侵入の際の破壊音がかき消されるため)
・洗濯ものが干したまま状態
・部屋の明かりが消えたまま

傾向から見る防犯対策

侵入窃盗の被害が非常に多い昨今、侵入盗はどのような心理状況で犯罪を繰り返しているのか気になるところではないでしょうか。
侵入盗の意図を知ることで、効果的な防犯対策が可能となります。ここでは、そんな興味深いデータを紹介します。

侵入盗の心理

侵入手口の半数以上は「ガラス破り」、つまり侵入盗が最も狙いをつけるのは「窓ガラス」です。
犯罪を繰り返した侵入盗は、どの窓が破りやすいか、侵入が容易なのか、即座に判断することができるようです。そのような侵入盗にはどんな対策が必要なのでしょうか。
右のグラフをご覧ください。住宅侵入の際、侵入盗は5分間で侵入できなければ、約70%があきらめる、というデータです

犯行をあきらめた理由

侵入者が、犯行をあきらめた理由の第一位が「近所の人にジロジロ見られた」ことによります。犯罪に手を染めようとしているとき、一番気になることは、やはり人の目のようです。
「ガラス破り」の場合、破るのに時間がかかればかかるほど、人目に触れる可能性が高まります。不審者を見かけたら、近所の人に声をかけたり通報したりするなど、周囲の連携プレーがなによりも功を奏します。
近所付き合いを密にしておくことで、自然と犯罪に強い地域づくりにつながります。
最近は隣に住んでいる人の顔すら分からない、ということも多々あるようですが、それでは不審者なのかどうかさえ分かりません。
特に高齢化が進む現代社会、外出の少ない一人暮らしの高齢者が狙われることは少なくありません。
人と人とのコミュニケーションが大切です。
これらのデータから、窓ガラスの防犯には、破るのに時間がかかる防犯ガラスは非常に効果があると考えられます

ガラスの種類と防犯特性

ガラスの種類によって防犯性能は大きく異なります。
侵入に弱いガラスは少しの衝撃で簡単に割れてしまうので、万一の場合、非常に危険です。一方、防犯性能を十分に期待できる窓ガラスなら、侵入を未然に防ぐことが可能です。
侵入を許さない強靭な防犯ガラスは、割れやすく狙われやすいという窓ガラスの弱点を見事に克服しました。
防犯ガラスを上手に取り入れ、住宅のセキュリティを万全に整えましょう!

防犯特性の比較

ガラスごとに防犯性能が異なるといっても、実際にイメージしにくいと思います。
そこで、ガラスの種類別に防犯性能を比較してみました。

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フロート板ガラス

最も一般的で、開口部に使用される頻度が高いガラス。しかし、短時間で破られ、防犯性能は期待できません。
「熱線吸収板ガラス」、「熱線反射ガラス」、「装飾ガラス」も同様に期待できません。

型板ガラス

型模様のガラスが使用され、視線を遮る機能をもったもの。防犯性能はフロート板ガラス同様、期待できません。

網入り板ガラス

火災時の延焼を防止する目的で金網を封入したガラス。しかし金網は容易に切断できるため、防犯性能はフロート板ガラスと同様、期待できません。

強化ガラス

フロート板ガラスを加熱・急冷して製造し、強度を高めたガラス。割れにくく、万一割れた場合には、ガラス全面が粒状になるので、安全面での特長はあるものの、反面、防御力を失うため防犯性能は期待できません。

複層ガラス

2枚のフロート板ガラスの間に中空層を設け、フロート板ガラスの約2倍の断熱性能をもったもの。
2枚のガラスを破るのに手間取ること、ガラス周辺がシールドされているためガラスの破片を取り除きにくくフロート板ガラスに比べると破りにくいものの、防犯性能は期待できるレベルではありません。

合わせガラス

2枚以上のガラスを強靭な樹脂中間膜で接着して一体化したもの。割れてもガラスの破片が飛び散らず安全面に優れています。
さらに中間膜を厚くしたり、破りにくいポリカーボネート板などを挟んだりすることで、防犯性能を向上させることができます。

合わせ複層ガラス

複層ガラスの片側または両側に合わせガラスを使用したもの。断熱性能に優れているとともに、合わせガラスの中間膜を厚くしたり、破りにくいポリカーボネート板などを挟んだりすることで防犯性能をより向上させることができます。